蒼と結ばれたあと、また二人同じベッドで眠っているとき。
ふと、これからのことを考えて思い出す。

「蒼、私こっちでの仕事がせっかく楽しくなってきた頃だから、辞めたくないんだけど…」

おずおずと、遠距離なんて続くかな、と不安になるけれど。
蒼から返された言葉はかなりの想定外だった。


「あぁ、それなら大丈夫。昨日話した海原さんが福岡に異動になる代わりに、俺が大阪のSVだから。」
「…え?」


思いがけない答えに驚いて、唖然としていた。

「葵が大阪にいるって知ったあとすぐに課長に掛け合って、大阪に行かせてくださいって言ったんだよ。そしたら上も、経験あるSVを大阪に異動させたかったみたいで、あっさり受け入れてくれた。だから、2月からこっちにくるから。それまでは我慢だけどな。」

なんて軽々しく言ってのけた蒼に、私のさっきまでの不安を返してほしい気持ちでいっぱいになる。

それに、だ。



「…それ、私が拒否してたらどうするつもりだったの。」

もし私が告白を断っていたら、大阪に来るのは無駄足になっていたということ。
それなのに。

「まあそれでも、葵を手に入れるために何でもするつもりだったから。」

なんてことを言い始めるんだから、本当に―――


「バカだなあ、蒼は。」

そうやって、いつまでも、私のそばて、守ってくれるらしい。




(fin)