「そんなの、これからいつでも飲めるじゃない。」
「そうだけどさぁ。」

納得していないように蒼は続ける。

「あおいが飲めるくらい、俺も飲めないと、ダメかなって。」

私は多分、アルコールにかなりの耐性がある。ザルというほどに、本当に何杯飲んでも酔うことはなかった。

「...別に、蒼がお酒を飲めても飲めなくても、問題ないでしょ。ほら、蒼。帰るよ。」

そろそろ帰らないと終電がなくなりそうだ。

まだしっかりしている友人一人に声をかけて、お金を支払う。

蒼は誕生日だから、と私の分だけ支払い、店を出た。

「ほら、蒼。全然歩けないじゃない。これからはほどほどにしてよ。」

何とか私の支えがあって歩けているけれど、一人にしてしまうときっとその場から動けなくなるほど、蒼は酔っていた。

「んー、ごめんー、もうあるけない」
「嘘、もう終電の時間なんだけど!」

ちょっと、蒼、と何度声をかけても、蒼はほとんど動けなかった。

どうしよう、と困ったときに、そばに見えたのはホテル。

一瞬ためらうけれど、仕方ない、と考えて、何とか蒼を引っ張って歩きながら蒼をホテルまで連れて行った。

ビジネスホテルではなく、いわゆるラブホテルで、受付するのも恥ずかしくて仕方ない。