ミウは案の定、瞳に輝きが戻った。
そして、控えめにコクンと頷く。
「明日の夜はどう?
謙人さんのスケジュールを僕はちゃんと把握してるから、明日の夜なら確実にディナーに行けると思うけど」
さっき泣いていたミウの顔が乙女に変わる。
謙人マジックはしばらく使えそうだ。
健太郎は、そこからは、謙人の伝説的ないい男っぷりの話を延々とミウに聞かせてあげた。
健太郎の話術は控えめだけど抜け目がない。
確実に、ミウは謙人の虜になっている。
虜どころか、明日には恋人になれるかもくらいの気持ちに達していた。
「でもさ…
僕もロビンに会いたいんだ…
ミウさんが謙人さんと食事がしたいように…」
健太郎は、目を伏せて悲しそうな顔をしてミウを見つめる。
健太郎の周りの人達は、健太郎の事を人たらしとか人心掌握術を身につけてる男とかそんな風にからかったりするけれど、これだって自然と出て来るものなのだからしょうがない。
ミウは少しだけ我に返って、そして小さくため息をついた。
そして、バッグの中から猫の形をした可愛らしい付箋紙を取り出して、そこに何かを書き始める。



