奥様は健太郎の前を素通りして、ロビンの方へ歩み寄った。
そして、優しく静かにロビンを抱きしめる。
「会いたかった…
本当に、会いたかった…」
ロビンは涙で前が見えない。
すると、いつの間にか、奥様の隣に旦那様も来ていた。
そして、そっとロビンの肩に手をのせる。
「ロビン、よく来たね。
ずっと、待ってたよ…」
ロビンはハンカチで涙を拭って、お二人にしっかりと会釈をした。
「ご無沙汰しております。
お二人にこんな形で会えるなんて、夢にも思っていませんでした…」
ロビンは胸が詰まって言葉が出てこない。
そんなロビンを健太郎が優しく抱き寄せる。
「堅苦しい挨拶は抜きにして、そっちに座っていい?」
健太郎はリビングの真ん中に置いてある対面式のソファにロビンを座らせた。
そして、その隣に自分も座ると足を伸ばしてリラックスする。
ロビンはそんな健太郎を見て、クスッと笑った。
子供の頃と何も変わらない。
この家では、ケンはお父様達の愛情を独り占めしてしまう。
そんな柔らかな雰囲気を持つ健太郎を、皆、愛していた。
ロビンは少し緊張がほぐれた。
気持ちが落ち着いた中で、もう一度、旦那様と奥様をそっと見た。
見るだけで癒される二人の存在は、ロビンにとってやっぱり特別だった。



