その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党



「ただいま」


健太郎は当たり前のように玄関のドアを開けた。
すると、奥の方でバタバタと音がする。
まずは、お手伝いさんのような人が現れた。
そして、その人は二人分のスリッパを用意してくれる。


「お坊ちゃま、お帰りなさいませ。
また見ない間に大きくなられて。

あ、それと、ロビンさん、いらっしゃいませ」


ロビンはお手伝いさんにそう言われた事で、少しだけ心が落ち着いた。
ちゃんと自分の事を認識してくれている心遣いに、ベトナムに居た頃の自分達の生活を思い出す。
ママの心のこもった仕事ぶりが、不思議とロビンの頭に浮かんでくる。

健太郎はそんなロビンの手をそっと取った。


「何も緊張しなくていいからね。
僕がちゃんとフォローするから」


ロビンはコクンと頷いて、健太郎の後を歩いて行く。

リビングに入ると、すぐに旦那様と奥様の姿が目に飛び込んで来た。
ちょっとだけ皺が増えて年をとってしまったけれど、でも、温かいまなざしは何も変わっていない。


「ロビン?
ロビンちゃんよね?
何も変わらない…
あの頃の可愛らしいロビンちゃんがそのまま大きくなったみたい」