その男、イケメンエリートにつき冷酷そして甘党



健太郎はもらったお酒を一口飲み、すぐに働く女性達を観察し始める。
そんな中、カウンターの方からひと際目を引くほどに美しい女性が、健太郎の隣に座った。

ロビンじゃない…
そんな事を胸でつぶやきながらそっけなくしていると、謙人が健太郎の肘をつついた。


「明智君、ちゃんと自己紹介しなきゃ」


謙人はそう言いながら、健太郎の耳元で適当でいいからなんて、それこそ適当なアドバイスをする。
健太郎ははにかみながら、とりあえず苗字だけを名乗って頭をペコリと下げた。
謙人は席について30分も経たないのに、もう二、三人の女の子を虜にしている。

健太郎は、最近髪を短く切った謙人に心境の変化を感じていた。
セクシーでワイルドで、それでいて女心も男心も分かっていて、絶妙なタイミングで優しさを使う技は、天性の物としか思えない。

そんなモテモテで遊び人の謙人が、長髪の髪をバッサリと切った。
ジャスは失恋だって騒いでたけれど、健太郎はもっと何か深い意味があるのでは?と思っている。

そんな謙人はいつもの魅力で女性の心を掴んでいる。
まるで私だけの王子様と、勘違いをさせる謙人特有の魔法を使って。