Julian KANATA
ロビンの店の名前。
健太郎のリサーチでは、隠れ家的高級ラウンジで出入りする客も上流階級の人間が多い。
更に加えるならば、確実に裏が怪しい店に間違いなくて、その取り仕切るオーナーの情報も健太郎は全て掴んでいた。
でも、その事は誰にも言わない。
推理小説や難解な数式を解くようにそのロビンに関わる怪しい難題を完璧にないものとするため、健太郎の脳はいつもフル回転していた。
健太郎は謙人を同行してこのラウンジの扉を開くと、品のいい綺麗な女性が二人を出迎えてくれた。
でも、健太郎はその女性がロビンじゃない事にすぐに気付く。
完全な日本人女性だったから。
健太郎はここでのやり取りは全て謙人に任せていた。
もうすぐ27歳になるけれど、この手の世界はあまり好きじゃない。
好きじゃないというより嫌悪感さえ抱いている。
だから、この仕事に就くロビンを早く助け出したかった。
「EOCのお客様がいらっしゃるなんてすごく珍しいので、驚いてます」
謙人にべったりくっついた女性がそんな事を言いながら、お酒をテーブルに置いた。
その店は外観のイメージとは違い、シンプルでブルーを基調としたラグーンのような空間を演出している。
紫と青とゴールドが入り混じった世界。



