「……まだ、おはようのキスしてもらってない」
「……」
私は、呆然とした
そして……
そっちかっ!と、心の中で突っ込んだ
「それは絶対しないって、ずっと言っているでしょ?」
「小さい時は、してくれた」
「それは、小さい時の話」
「でも俺ら、まだ子どもだよ?」
「子どもでも、年上の子どもだから」
そんな、よくわからない会話も、私が先に歩いていくのもいつも通り
周りからしたら、私たちはおかしいと思う
私もそれはわかってるけど、慣れてしまってうざいとしか思わない
「なぁ、美音……」
「もう!しないよ!」
進めていた足を止めて、振り返って言った
私と祐の身長は10センチ以上あるけど、少し離れてたから見上げることはなかった
それだけ言って、私は足を速めていく


