永遠、というものがあれば

帰りの車の中は


さっきとは全然空気が違ってた。


ピンと張り詰めた雰囲気に私もカズくんもしゃべらない。



私の家の前で車が停まった。


「今日はありがと。ごちそうさまでした」


私がそう言ってドアを開けようとした時、


ふいにカズくんが私を抱きしめた。


いきなりのことで、今何が起きてるのかわからない。

時間にしたら多分ほんの数秒。



我に返ったようにお互い体を離した。


「ごめん、つい…」


カズくんの言葉も続かないまま、


「カズくん、どうしたの?今日おかしいよ」


泣きながら言う私の顔はろくに見ずに


「ごめん。」


呟いてカズくんは帰っていったんだ。