「そういえばさっきも向井くんの前でキ……」
向井くんの前でキスしてきた久我を怒ろうとしたけれど、また久我にキスされてしまう。
「……っ、ば、場所考えて!」
「そんなこと言いながら、受け入れてるくせに」
「そ、それは……久我が強引で」
「嫌なら危機感持って、俺から離れたらいいのに」
ズルいことを言う。
私が久我から離れるなんてことはしない。
教室に誰もいないからって言い訳して、今も彼のとなりを並ぶ。
きっと、久我はぜんぶわかっていて、そんなことを言うのだ。
「じゃあ行くか」
離れない私を見て、満足そうに笑ってから久我は歩き始める。
「一緒に行くの?」
「1時間以上も待たされたからな。
途中合流とか面倒なことしたくねぇ」
「待たせたのは、謝るけど……」
「バレたときは適当に言い訳したらいいだろ。
それともなに、彼氏と一緒に帰るのが不服か?」
「……っ、そんなわけない!」
むしろ嬉しいし、願わくば一緒に帰りたい……なんて思っていた。
「なら決まりだな。
行くぞ、時間が惜しい」
「うん……!」
いくら周りに人がいないからって、学校で手をつなぐ勇気はないけれど。
久我のとなりに歩きたいと素直に思った。
いつか久我の彼女として、堂々とできたらいいなと願いを込めながら、私は彼の後を追いかけた。



