とても優しくて、理想の彼氏といえば王子様のような向井くんかもしれない。
けれど今の私には、久我しか見えていなくて……。
「向井くん、ごめんなさい……!
私は久我が好きだから」
頭を下げて、自分の意思を伝える。
私の気持ちが久我以外に傾くことはない。
それほど彼のことが好きになっていたようで。
「……うん、そうだよね。
そんな頭まで下げなくていいんだよ」
「で、でも……私なんかに好意を抱いてくれたのに、断るなんて失礼じゃ……」
「日南さんはもっと自分に自信を持つべきだよ。
俺は日南さんだから好きになったのに」
「えっ……」
「でも……そうだな、やっぱり悔しいから、久我に泣かされたらいつでも俺のところにおいで」
「泣かせるわけねぇだろ」
さわやかな笑みを浮かべる向井くんに対して、久我は威嚇していて。
どちらに余裕があるのかなんて、正直わからなかった。



