「志穂は俺の彼女だから、言い寄るんじゃねぇよ」
いつもより声のトーンが落ち、向井くんを睨む久我。
ついに久我と付き合っていることが、他人にバレてしまった。
「……じゃあ、ふたりは本当に付き合ってたんだね」
けれど向井くんは、私たちがキスしているところを目にしたというのに、いつも通り落ち着いていた。
「だったらなんだよ?
バラしたいなら勝手にバラせばいい」
「ちょ、久我……」
「またキスされたくなかったら志穂は黙ってろ」
「……っ」
そんなことを言われたら、おとなしく黙るしかない。
けれどその直後、向井くんと目が合った。
「日南さんの気持ちは?」
「えっ……」
「俺に今の日南さんの気持ちを教えて」
「私の、気持ち……」
「告白した手前、このままなにもせずに引き下がるのは嫌だからさ」
眉を下げて笑う向井くん。
たぶん、答えはわかっているけれど、私の口から聞かせてほしいということだろう。



