そう言って、圭人は私に一瞬だけ触れるキスを落とした。
頬に触れた手からは、優しさが滲み出している。
「おやすみ」
そう言って、圭人は部屋から出ていった。
ただ、ドキドキするから待ってと言っただけで、キスされるのが嫌な訳では無い。
むしろ、嬉しく感じた。
圭人の甘さについていけないとも思ったけれど、離れてしまうのも寂しいので、これはこれで悪くない。
初めは、圭人がおやすみのキスを要求してきたけれど、今のは私が要求したようなものだ。
ーーおやすみのキスがないと眠れない。
この日から、私は寝る前のキスを圭人にしてもらうのが日課になったのだった。
ーーFin



