髪を乾かすのも程々にして、圭人を呼ぶ前に、一度自分の部屋に戻った。
だけど、これが間違いだと気づいたのは、ドアを開けてからだ。
「えっ?なんで居るの?」
部屋の中でくつろいでいる圭人。
ここ、私の部屋だよね?なんか、デジャヴーー。
前にも同じようなことがあった気がする。
「陽葵と一緒に寝ようと思って」
何を言っているの?
一緒に寝るってーー。
さっき、お風呂で言おうと思っていた事が、圭人の一言で一気に吹き飛ぶ。
「ほら、ここ空いてるから来て?」
何故か、私のベットに寝転がって、手招きしている。
空いてるからってーー、ここ私の部屋なんだけど......。
「来てくれないの?」
寂しそうな物言いに、つい足が動いてしまった。
まって、私は圭人に言いたいことがあるんだった。
そう思った時には既に遅く、圭人の腕の中に捕まっていた。
「捕まえたっ!もう離さないからね」
「け、圭人」
楽しそうな圭人に、ちょっと待って欲しいとは言い難い。



