「由乃!」

「由乃ちゃん!」


2人は一目散に、私の縛られている手と足のロープを解いてくれた。
解かれた手と足にはロープの後がくっきりと残った。


「……痛いか?」


嶺亜くんが優しく触れる手は、何回も殴られた頬と口元。

本当に強く触ったら壊れるような物を触るみたいに優しく触るから、痛くはない。

けど、嶺亜くんから伝わる温もりが伝わって、つい涙が溢れそうになる。

でもそれを、我慢してしまうクセが邪魔をした。


「"家"に帰って手当てしよう」

「ああ」


さっきの怒りとは違い、直くんも凄く心配する目で私の痛々しい傷を見ていた。


「歩けるよ?」