お母さんがいなくなっても、こんなに明るく過ごせるのはお父さんのおかげ。

お父さんが1番辛かったはずなのに、こうして明るく振舞ってくれる優しさに、私の方が感謝すべきよ。


「やばっ!もう出ないと!」


お父さんが作ってくれたお弁当を鞄に入れ、戸締りもしっかりと確認して、ローファーを履いて家を出る。

家から学校までは、徒歩で約30分ぐらいの距離。


「由乃ちゃんおはよう!」

「由乃ちゃん今日も美人だね!」

「おはよう〜!美人じゃないから、大袈裟に言わないの!」


昇降口でクラスメイトの女の子達と挨拶を交わす。


この学校に入学して、早2ヶ月。
クラスの皆とはすでに打ち解けて他愛もない話をするようになった。

2階にある職員室を通り、渡り廊下へと続く階段を登ると1年生の教室がある。