鼓動が速くなる一方。
ようやく嶺亜くんは私を降ろしてくれた。


「悪い」


多分すぐに降ろさなかったから謝ってるのかな?


「少し驚いたけど大丈夫だよ!」


そもそも嫌だったわけではないから。
私を選んでくれた事に嬉しく感じた…から。



………は?

私今なんて?
嬉しく感じた…?

何言ってるんだか!全く!
今ので頭おかしくなってるわ!!


「嶺亜、凄い注目浴びてるよ」

「うっせ」


嶺亜くんとテントに入ると、直くんが少しからかうように言った。


「あ、嶺亜くん。こっち向いて?」

「?」


嶺亜くんの前髪に付いている粉を取る。


「うん!綺麗になった!」


なぜか口を手で覆う嶺亜くん。

具合いでも悪くなったのかな?


「言えば自分で取った…」


あ。確かにそれはそうね。