喧嘩を辞めた時は、気に入っていたベージュ色の髪を茶髪に染めた。

喧嘩をしない代わりに、制服の上に着ていたパーカーも全て捨てた。


見た目だけじゃなくて、言葉遣いも変えた。
普通の女の子のように。

たまに口悪くなる時もあるけどね。

だけど、この赤いコートと机に置いてある1本の赤い口紅だけは捨てられない。

もちろん。復讐する時に使うため。
復讐が終われば、捨てると決めている。


洋服に誰のものか知らない血を親の前で見せたくなくて、赤いコートを着てた。


「由乃ー!ご飯出来てるぞー!」

「はーい……」


寝起きの目でぼーっとコートを見ていたら、1階からお父さんの声が聞こえてくる。


朝から本当に元気ね…。