そんな私に、またしても嶺亜くんは鼻で笑って口角を上げた。

嶺亜くんって、口角を上げることが多いけど、直くん達みたいに笑顔になる事はあるのかな?


「そんなことないよ。凄く楽しかった!」


たった数時間だけど、本当に楽しいと思えた。


「そうか」

「うん!」


少し目が見つめ合うも、嶺亜くんは再び手に持っていたヘルメットを頭に被せる。


「じゃあな」

「うん、またね!」


ーーブオオオオオーン!

はっや!
いつもあれぐらいで走ってるのか。

私を送ってくれた時のスピードよりも遥かに速くて、後ろ姿も曲がり角ですぐに消えてしまった。













カッコよかったなぁ。嶺亜くん。

不覚にも、そう思えずにはいられなかった。


『うん、またね!』


私の言葉はきっと。
また会える日があれば良いなと願ったものなのかもしれない。