「ダメだ」
「なんで!」
「何時だと思ってんだ。コイツは帰らせる」
窓を見ればすでに暗い空になっていた。
すっかり時間の事も、お母さんの事件の事も忘れていた。
復讐しか頭に無かったのに、完全に忘れるなんて初めてだった。
「送ってく」
「え?1人で帰れるよ?」
「こんな暗い夜道に女1人で帰らせるわけねぇだろ」
ーードキッ。
また、心臓が小さく跳ね上がる。
本当にこれは一体何?
「そうだよ由乃ちゃん!遠慮せず送ってもらいなよ!」
直くんに後押しされる。
確かに、断る理由も無いと言えば無い。
「あ、でも嶺亜の運転速いから落とされないようにね!」
そんな満面の笑みで言われたら、ちょっと怖いんですけど…。
「じゃあ、お願いします!」
私の言葉に少し口角を上げて微笑む嶺亜くん。
少しの微笑みだけでドキッとしてしまう。
これは絶対モテるわ。

