手を伸ばそうと頑張るが、意識が無くなったのかパタンと地面に手が落ちていく。
直と哲は由乃の意識が無くなる時、ようやく男に殴るのを辞めた。
男は殴られ過ぎて気絶している。
「おい、由乃!由乃!!」
名前を呼んでも返答はない。
「やばい。ゆーちゃん息してない」
翔馬が由乃の顔に手を当てる。
息をしてないだと?
「京!電話…「もうしてる」
いつの間にか救急に電話をしていた京。
冷たいコンクリートに、血がどんどん広がっていく。
ようやく救急車が来て、急いで車の中へと運ばれる。
車内は緊迫した状況だ。
お願いだ。生きてくれ…。
俺は赤く染まった由乃の手を強く握った。