それでもお母さんやお父さんは、私に優しく接してくれていた。



『由乃。喧嘩をする事は別に悪いことでは無い。
でもね、由乃が使うこの拳は、時には狂気にもなるの』

『そんなの知ってるよ』


『言葉と一緒。人を傷付けたり、人を守る事にだって使える。

由乃。これからもし、由乃に守りたい人が出来たらこの拳を"守る力"に使いなさい。

守る人がいなくても、決して人を"殺める"事にだけは使わないで。

それがどんなに自分の嫌いな人でも。ね?』



お母さんが亡くなって、沢山暴れまくった時に。
この言葉があったから、私は誰一人として殺さなかった。


安心して。

今日も、これからも、この拳は大切な人を守るために使うから。