「由乃はもう、お前に似てきたよ」
お父さんのいつもの口癖。
私が成長していく度に言ってる。
「お母さん…そっちでも元気にしてる?」
お母さんはしっかり者とは言えなかったけど、優しくて、頼りになる人だった。
お母さんに叱られた事なんて記憶にないぐらい本当に怒らない。
お母さん。
私ね、好きな人が出来たの。
でもその人には、彼女がいた。
その人を忘れるためには、時間がかかりそうだよ…。
こういう時、お母さんはなんて言葉を返すのかな。
こうして、お母さんの命日は過ぎ。
あっという間に、嶺亜くんや鬼瑠の皆に会えないまま私の恋も、夏休みも、終わってしまった。