好きな人なら、尚更。



「さっき、嶺亜くんに手を掴まれて。なんだか体温が熱いなって思って」


前髪で少し隠れる目元。

嶺亜くんは人と話す時、必ず目を見て話すからつい引き込まれてしまいそうになる。


「寒気はある?」

「頭、痛くない?」

「何か飲む?」



優しく嶺亜くんに質問をするけど、よっぽど我慢してたのかな。

一言も話さない。


あ、近くにコンビニがあるね。


「スポーツドリンク買ってくるから、ちょっと待ってて………」




え…。



飲み物を買ってこようとした瞬間。

嶺亜くんは私を後ろから抱きしめてきた。