目的地には着いてないけど、嶺亜くんに頼んで、バイクを停めてもらった。


「なんかあったか?」

「手、出してくれる?」

「?」


嶺亜くんは私の言う通りに片手を私の前に差し出す。

私は嶺亜くんの手に触れて確信した。



「嶺亜くん。熱……あるよね?」



予想が的中したのか、嶺亜くんの目が少し大きくなった。

嶺亜くんは普段から無表情な事が多いから、楽しいのか、怒ってるいるのか、辛いと思っているのかは表情では分からない。


今でも熱で辛いはずなのに、顔には一切出していない。


「なんで……」


分かるよ。


顔にあまり出さないからこそ。

最近は、ちょっとの変化でも少しずつだけど、嶺亜くんが楽しんでいるのか、怒っているのかが分かる。