ずっと下を向いていた私を哲くんが呼び、ハッと我に返る。


「え?あ、ううん!なんでもない!」


ふと嶺亜くんの方を見ると、嶺亜くんと目が合う。

なんだかおかしい。

嶺亜くんと目が合っただけなのに、少し泣きそう。

私だけの片思いなのに、なんでこうなる?

嶺亜くんとの視線をすぐに逸らした。


「由乃?大丈夫か?」

「え?」


帰りの電車でも、満員になる。

行きは嶺亜くんが目の前にいたけど、今は颯馬くんが目の前にいる。

そして心配する声。


「うん!大丈夫!はしゃぎ過ぎて少し疲れちゃったかな!」

「確かに!今日は沢山食べたしな!」

「颯馬くんは何が美味しかった?」


嶺亜くんと宮ちゃんの事を紛らわすため、電車の中では颯馬くんと終始ずっと話をした。


「やっぱ焼きそば!目玉焼きと一緒に食べると格段に味がうめぇもん!」

「うんうん!確かに!颯馬くん達は焼きそば大盛りで、私は目玉焼き1つサービスにしてもらったもんね!」


颯馬くんと話してたら話が途切れないから、いつの間にかモヤモヤしてた気持ちは忘れていた。