「ッチ。あれじゃ余計ナンパされんだろうが…」


後ろで嶺亜くんがボソッと何かを言ったような気がした。


うわわわっ!

電車の中は人で埋め尽くされている。
人1人さえ、通る道はない。

私と同じように、浴衣や甚平を来た人達が多くいる。
皆花火大会に行くんだろう。


ガタンッ!

電車が停ると同時に、車内が揺れる。


「大…丈夫?」

「うん。由乃こそ狭くないか?」

「大丈夫!」


私は今、嶺亜くんと体が向き合っている状態。
人に押し潰されないようにって守ってくれている。


大丈夫とは言ったけど、凄く近いのには変わりない。
でも、好きな人にこうやって守られるのは、嬉しいよ。

嬉しいけどね。凄く心臓の音がうるさい!!
ちょっと黙って!



ようやく目的地に着くと、会場には屋台が沢山並んでいる。