急いで自分の部屋に戻り、クローゼットの中身を確認する。

何着ていこうか迷うなぁ。


……

……

……なんでそんなに張り切っているのよ。
いつも通りでいいのよ!うん、いつも通り!


考えてみれば。嶺亜くんとのメールは何回もしてるけど、電話は今のが初めてかも。




ーピーンポーン。

鬼瑠の"家"にはインターホンがある。

嶺亜くんには『勝手に入ってくればいい』って言われたけど、なんかやっぱり躊躇(ためら)っちゃうんだよね。

ーガチャッ。


「いらっしゃい!」


ドアを開けて出てきたのは直くん。

部屋に入ると、中には颯馬くんと嶺亜くんの姿が見える。


「お!久しぶりだな、由乃!」

「久しぶり!颯馬くん!」

「よ」

「…久しぶり嶺亜くん!」


部屋に入って右側にあるソファに座る嶺亜くん。