「えっ、送ってくよ」


「ううん、大丈夫、ありがとう」


「そっかぁ、うん、わかった」


 本当は加恋ちゃんのことを家の前まで送って行こうと思ったけど、あまりしつこく言わない方がいいのかなと思って家の前まで送っていくことを諦めた。


「優くん、今日はありがとう」


「こちらこそありがとう、加恋ちゃん」


「また明日、部活でね」


「うん……」


 加恋ちゃん……。


「……優くん……?」


「……離れたくない……」


 また明日会えるのに……。


「僕、加恋ちゃんと離れたくない」


 僕は、そう言って加恋ちゃんのことを抱きしめた。


「……優くん……」


「加恋ちゃん……」


 僕は加恋ちゃんと離れたくない。


「……わたしも……優くんと離れたくない……」


「……加恋ちゃん……」


「優くんと離れたくないけど、また明日、優くんと会える楽しみがある」


 ……加恋ちゃん……。


「その楽しみがあるから、わたしは今日も明日も明後日も元気でいられる」


 僕もそうだよ。