少しだけ茶色に染めた猫っ毛のようなヘアセットに、左頬に見える僅かな切り傷。 そして昔相当何かを我慢して食いしばってきたのだろう、主張の激しいエラ。 「………サクラ?」 知り合い、って間柄じゃない位に私は彼を知っている。 何ならご飯だって何度も2人で食べに行ったし、職場で困った事があったら助け合ってた関係性だ。 ──もっと言うならば… 私は彼を好きになりかけていた、かもしれない。 「───平沢……達也。」