「なるほどな!そういう経緯か!」


もう何度も聞いた納得の言葉を発したのは久本さんだった。

官僚達を押しのけて徐ろにホワイトボードに今回の事件解決に必要なキーワードを書いていく。


残り2人のエリートも頭では納得してるつもりでも、イマイチ掴みきれていないのだろう。久本さんの書いたキーワードを穴が開くほどに見つめていた。


「俺達が見つけた共通点であるランドセルの色…そこから必死に犯人はペドフェリアの色盲で有る線を追っていたけど、そこが間違えていたワケだ。」


「まず第一に色々な可能性が有るとは云え、色盲にとってピンクとか茶色ってのは沢山の色が混ざり合って出来た色だから、認識しにくい部分が有る。」



「でも狙われた女の子達は皆、ピンクのランドセル。男の子達は茶色のランドセル。──それはつまり……犯人はハッキリと色を認識している、という事なんだ。」


今の久本さんの状況を誰かに例えるならば、コナン君からヒントを与えられた警視庁の人達、だろう。

目を開きながら、必死に自分の頭の中で整理をしているこの状況こそ、あの国民的アニメで良く見るシーンの一つにそっくりなのだから。



「じゃあ、ここで問題なのは何故その色ばかりを狙うのか?単純に好みが有るのなら顔立ちや服装、身長はある程度共通点を持つはずだけど、性別や特徴は全く似ていない子達ばっかり。」


「そこで、大河君の推理なわけだ。」



「犯人は❝桜❞に関係する何かを探し求めている。そして、それに繋がるのがピンクと茶色のランドセル、って事になる。」




「となると────」


先程までの弾丸トークが嘘のように、一瞬にして静かになる会議室。


『この事件はペドフェリアによる単純動機の連続誘拐では無く、知能犯・もしくは撹乱障害者による連続誘拐事件となるだろう…。』とどうせなら、最後まで締めくくってほしいものだった。