「そっか、これって切り絵みたいなもんなんだ。」


「ああ、犯人は桜だけじゃなく5枚花弁が付いている何かの花を自分の犯行目印として残しているんだよ。」


「いや、大河。多分これって桜の花弁でビンゴだよ。……ほら、これ見て?」

今度は私がグーグル検索結果を大河に見せる。そこには桜の花弁のイラストが沢山載せられてあった。


「桜の花弁ってね、私も昔よく切り絵でよく作ってたから分かるけど、真ん中が膨らんで先っぽが異様に細いの。」

「他の花は、細長かったり真ん中に膨らみがなかったり……。この形で花びら5枚、となるとそれは犯人の表している❝何か❞が❝桜の花びら❞って線が一番近い気がする…!」



「じゃあ問題は───」

独り言の様にそうつぶやきながら、エンジンをかけた大河。考え事をしている時こそイケメンさが際立つんだよね、なんて云う馬鹿げた惚気は脳の端に置いて、私も目を瞑って色々と想像してみる。


そう、問題は……

なぜ犯人は、こうも『桜の花びら』に拘っているのか、だ。




犯行が行われた季節は定まっていない。春もあれば、冬もある。

冬なんて桜とは無縁の季節だし。




『焦っても悪い人は見つからない。』

『悪い事をされた人達の気持ちを考えるの。』

『じゃあ何で、悪い人がそんな事をしたか分かるんだよ。』



───私が昔に大河に言ったらしい言葉が突如、脳裏に蘇り、ハッとする。


そうだ。

私がまず考えないといけないのは……想像しないといけないのは……あの子達の気持ち、なのかもしれない。