いつもと同じ様に大河ママ特製の昼ごはんを食べてから二人でスカイラインに乗り込んだ私と大河。

一つ違う事と言えば、いつもは上野や警視庁にそのまま直行する事が多いけど、今日は18年前…一番最初に誘拐されたと思われるご家族が居る練馬の方へ行く。

少しだけ長旅になりそうだけど、隣でKAT-TUNを爆音で聞いている大河は、ちょっとしたドライブ位に思っているのかもしれない。


「ねえ、大河。」

「んー?」



「あのさあ…「週刊誌とかワイドショーの事は一々言わないでいいから。俺マジで気にしてねえし、あれ位言われる方が燃えるし。」


「全然そんな事言おうと思ってなかった。むしろ、事件の話しをしようと思ってた。」


「事件?」

チラッと横目で私を見ると、ペットボトルを渡してくる。蓋を開けてホルダーに差しとけ、てな具合だろう。オラオラを地で這って生きてる大河には、ここまで来ると尊敬の念すら覚える。


「うん。この前、大河と私の小さい時の写真見たじゃん?それこそ小学生の時の」

「あー、お袋が2階から持ってきたアルバムな。」



「そうそう。あれ見て思わなかった?誘拐されてる男の子達って大河と「──同じランドセルの色、だろ。」



「……さすが神埼大河、気付いてたんだ」



「ナメんなよ、そりゃ気付くだろ。」

「茶色のランドセル背負ってる男の子なんてあんまり居ないしな。誘拐された女の子の顔立ちはそれぞれ個性が有ったけど、男の子達の顔立ちは……」


「王道のジャニーズ系だったよね、みんな大河みたいな。」



「そう。ま、俺の方が格好良いのは勿論「そんな事よりも!それって何か有るのかなって思わなかった?」


チッと、自分のイケメンさを誇示出来なかった事に少しばかりの悔しさを浮かべながら、いきなり真顔でハンドルを握り直し、前方をジッと見つめた彼。


これは何かを真剣に考えている時の表情だ。


「お前、気付かなかった?」

「──誘拐された女の子達のランドセルも全部ピンクだったんだよ。」



「それって…!」

「ああ、犯人の目星が付いていない事は間違いないけど犯行パターンってのは分かってきたのかもしれない。」