予定していた夕食の時間より一時間ほど遅く、家族全員がリビングのダイニングテーブルに集まる。
大河ママの興奮しきった話しやお祝いの言葉を聞き流しながら、私が料理を再度温めたりしている間に大河パパと大河は男二人、ネットに掲載されている私の情報や画像を事細かに消していく様指示を出していたらしい。
「はいはい、やっと揃ったわね。」
「今日もお疲れさまでした。」
「お疲れさま〜」
今までとは違う立ち位置で、神埼邸でご飯を食べるのが……何だか変な感じ。
別に気まずいとか嫌だとか、そういうのは無いんだけど、それでもやっぱり変な感じ。
当の大河は隠す事が無いのが余程嬉しいのか、私の気持ちを知れて有頂天なのか、いつもの倍以上のスピードで目の前に並ぶ豪華な夕食にありついていた。
「でも、大河。お前、探偵や警察の女っての「分かってるよ、色々と危ない立場になる可能性も有る、だろ?」
「ああ。」
「全部分かってる。だから20年もの間、俺はこいつに自分の思いを伝えなかったんだよ。」
「………。」
「昔は守れなかったかもしれない。」
「──ッ」
「でも今は違う。俺がこいつを守る。」
ハッキリと言い切った大河の瞳に圧倒されそうになった。自分の気持ちや同様を隠す為にビールをグイッと一気に飲み干したけど、目の前の大人3人にはそんな事、バレバレだろう。
「女が出来たから今の神埼はダメだ、とか。」
「そんな事言われる筋合い無えし、言われる前に結果残してやるよ。」
───はじめはただの幼馴染だった私達。
何度も喧嘩をしたし、何度も言い合ってきた。
でも、私はこうやってこれからも大河に守られて生きていくのかもしれない。というか、生きていきたい。
ママとパパにバレない様に、テーブルの下でギュッと手を握った私の気持ちを馬鹿にするかの様に、ふんっと鼻で笑った可愛い彼を見て、心底愛おしい気持ちになった。
