「その時の写真を誰かが撮って、このアンチサイトに載せたんだよ。」
「でも後ろ姿とか横顔だし、ほら……あの!私は全然大丈夫だから!」
心配なのは大河の方だ、という言葉は彼のプライドも有るだろうし話す前に飲み込んだ。
女が出来たからダメになったとか、遊ぶために探偵してるのかよ、とか今の大河への叩き方を見ていると、そんな心無い言葉が沢山書かれてもおかしくない。
し、Yahooニュースにも既に掲載されているだろう。
「……俺は良い。」
「大河、とりあえずリビングに行って「俺は別に何言われようが、書かれようが良いんだよ。」
「慣れてるし、そんなもん相手にしててもキリが無いと思ってる。し、そう思えるだけの精神力も有る。第一に男だしな。」
「でも、コイツは違う。」
「コイツは──ッ」
悔しそうなする顔を見て、いても経っても居られなくなった私はご両親の前だと云うのに大河を抱きしめる。
「私は大丈夫だから。」
「大丈夫じゃねえだろ!……とりあえず、親父!サイバー対策室に連絡して、このサイト事消してもらえねーか?もう遅いかもしれないけど、とりあえず消さねえと…」
「あっ、ああ。ちょっと待ってくれ、スマホが上に有るからとりあえず連絡してくる。」
「でも…」
どこか納得しきっていない大河パパの顔を同時に見る私と大河。
「ん?」
「お前ら、二人で箱根温泉に行ったのか?」
「……あ、それは、えっと「おん。初恋の人と一緒に成れたから、その記念。」
さらりと言い切る大河と顔を赤くする私。
──でも、それ以上にキャーキャー言っていたのは勿論大河ママだった。
大河パパは男らしい我が子のそんな言葉を聞くなり、一度ニヤリと大河そっくりの笑みを浮かべて『任せろ』と言ってから駆け足で階段を再び上がって行った。
