そんな中、バタバタと忙しなく玄関の扉が開く音が聞こえて大河ママと顔を合わせる。

大河パパは上で着替えてるはずだから……多分、今日は1人で聞き込み行ってくる。とお昼過ぎに出て行った大河が帰宅したのだろう。


大方、7時間近く1人での聞き込み、か。

相当疲れてるだろうな……何ていう予想とは裏腹、玄関先で見た彼の形相はまるで鬼の様だった。


「お、おかえり。どうしたのよ、そんな鬼みたいな顔して。」

「ただいま、親父は?」


思い切り靴を脱ぎ捨てるなり、私の質問に質問で返してくるなんて…。こりゃあ、何か大きな進展が有ったか…それか、かなり警察内部に腹立つ事が有ったかのどちらか、だろう。

上に居るよ、と言おうとした矢先、階段から上品な部屋着に着替えた大河パパが降りてきた。


「親父!見たかよ!」


「どうしたんだ、そんな焦って。」



「チッ、あー!腹立つ!親父、俺マジでキレそうだわ。」

「だからどうしたんだよ。」

ここにサンドバッグの一つでもあれば、相当な力で殴りかかっていただろうな、と思えるほどキレにキレまくっている大河。

余りにアホ面をしている私と大河パパの顔を見て、少し自制心を取り戻したのかわざとらしく一回、深い深呼吸をしてからスマホを取り出した。


「これ、見てくれ。」

玄関先に集まる大の大人4人。

広いリビングが有るんだから、そこで話せば良いのに!と他人から見たら笑われるかもしれないけれど、スマホに映る画面を見た瞬間、そんな馬鹿げた思いは消え失せた。


「……これって、私と大河?」



「ああ。覚えてるだろ、あの時射的したの。」

「うん、取ってくれたキーホルダー、私スマホケースに付けてるもん。ほら。」