定例会見から4日が経った。
あの会見を生放送で流していた幾つかのワイドショーでは、誰も大河の言った事を批判する事無く、子ども達の安全を守る為に大人が何をするべきか、という議論が繰り広げられていた位に、神埼大河と云う私の幼馴染は良い意味で日本のマスメディアのあり方に大きな打撃を与えた。
大阪や名古屋、東京、福岡と云った人口の多い都市では行政が既に動き出し、小学四年生までの児童の集団下校の義務付けを各教育委員会や学校に訴え続けている。
施行される日もそう遠くは無いだろう。
又、ネットの情報によると母親や父親の児童送り迎えが増加したのに伴い学校近くに駐車場を併設する地域も有るそうだ。
見守り隊への志願数も増え、そして又ただ単にそれを受け入れるだけじゃなく前歴や精神疾患の有無を調べたりと様々な方向で行政も変わってきたかの様に思う。
まだまだ日本と云う国は子供に厳しい国かもしれないけど、大河のあの言葉でふと我に返った人が沢山居たのも又事実だろう。
「……はあ、」
とため息をついた大河は、ルームサービスで頼んだシャンパンのコルクを音を立てる事無く空け、私と自分のグラスに注ぐ。
