「俺は確かに恋愛をしてます。出会った時から好きで堪らなかった、愛してる女が居ます。」
「男としての俺の使命は、神埼大河の女になってくれた事への恩返しとして、ソイツを一生かけて守って行く事です。………じゃあ探偵としての俺の使命は?それは、担当している事件を一刻も早く解決し、これ以上被害者や、国民の混乱を招かない様に犯人を逮捕する事です。」
「貴方方の使命は何なんですか?」
「犯人が逃げるかもしれない、手口を変えるかもしれない、模倣犯を生むかもしれない、それなのに警察に持っている全ての情報を差し出せ!差し出さないとお前達を無能と叩く!……それが使命なんですか?」
「違いますよね。」
「貴方達マスメディアの使命は、間違った情報を伝えずに国民達に注意喚起を施し、そして尚かつ有益な情報を公開する事ですよね?」
「東都新聞だけじゃない、この中に子供達の集団下校義務や見守り隊増加の提案等、日本に住む子供達が、この時期により安心して登下校し、子供らしく遊び続ける為の案や呼びかけを電波や紙面を通して地方自治体や国民全員に呼びかけ続けた媒体って有りますか?」
「無い……もしくは片手で収まりますよね。」
「それ以外の媒体は、僕や隣に座る三島、久本等本当に有意義で有益な情報源では無い所から、核心も何も無い情報を、まるで事実かの様に書き漁り…」
「解決が出来ないのは警察や僕が無能だから、と煽り続ける。」
「それって本当のマスメディアとしての在り方なんですかね?」
「……とまあ、散々言いたい事を言わせてもらいましたが。断言します。僕、そして日本の警察は貴方方が思っている以上に優秀です。」
「世論や好きな女1人で結果を残せなくなるほどの能力で人を守り、事件を解決するという立場には立っていません。」
「皆、それぞれ自分の大事な物を男として守りながら、違う側面では刑事として探偵として目の前に有る事件を解決しようと常に模索しています。」
「……それならこの場で稚拙な質問して俺を怒らせようとする前に、お前らにできる事他にあるんじゃねえの?」
最後の一言は、圧倒されて誰も何も言い返せない静かのこの部屋に響く、普段の大河では有り得ないほどドスの聞いた低くて怖みを持ったモノだった。
