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私は唯人さんに全てをお話した。全て打ち明けたため、少し気分が楽になった。

すると、彼は優しく微笑み、きっと大丈夫ですよ。と言ってくれた。



「それでは、ただいま遺品をお持ちします。」


彼の隣にいてずっと話を聞いていた少女、真胡さんが席を外した。




カウンターには唯人さんと私。館の中はやっぱり静かで私の緊張を大きくさせた。


そして私はアイスコーヒーを一気に飲み干した。頭が冷たさでジーンとした。


唯人さんはそんな私を見て、少し困ったように笑ったのだった。

ーー少し時間が経ち、真胡さんが戻ってきた。

「お持ちしました。」

遺品は鳥籠のような形の密閉された透明なガラスに入っているようだった。でもきっとこれはガラスではなく、魔法で加工された特別なものなんだろう。それは窓から差し込む光を反射して、きらきらと輝いていた。




そこには衝撃的なものが私の目に映ったのだった。入っていたのは、結婚指輪ではなくーーーーー







「……ハンカチ?」







しかも、身に覚えのない薔薇の刺繍がされたピンク色のハンカチだ。
どうみても女の人が使っていたであろうもの。

私は絶望というものが心に落ちる音が聞こえた。きっとこれは彼女の物だ。彼は彼女を愛していたのだ、私ではなく、彼女を。


見たこともない相手に私は負けたのか。全てを否定されたのか。とても屈辱的だった。





さっきまで窓から差し込んでいた光が、消えていく。
夏の太陽が雲に隠れてしまったようだった。