もうやめてほしい、そう言っても智香ちゃんは僕のそばにいようとする。それにイライラして、溜まっていたものが爆発した。

「そんなの、智香ちゃんのエゴじゃん!!」

僕は机を思い切り叩いていた。大きな音に智香ちゃんはびくりと肩を震わせる。

「僕はもう嫌なんだ!!腫れ物に触るみたいに扱われて、みんなからからかわれて!!智香ちゃんや母さんはいいかもしれないけど、僕はもう一人で何もかもしたいんだ!!もう僕のそばにいるのはやめて!!」

僕が思いを全てぶつけると、智香ちゃんは傷ついたような顔をしていた。こんな顔を見るのは初めてで、僕は何を言ったらいいのかわからなくなる。

今にも泣き出しそうな目で走り去っていく智香ちゃんを、僕は見つめることしかできなかった。



それから数日。僕と智香ちゃんの距離は初めて離れた。

散歩に行くために僕が家を出ても、家の前に智香ちゃんはいない。学校も何年ぶりに一人で登下校して、学校でも互いに話すことがない。