新聞部の活動は基本的に自由だ。記事を書き終えたら帰っていい。先輩たちは記事を書き終えると「戸締まりよろしく〜!」とだけ言って帰ってしまった。残ったのは僕と智香ちゃん。

「智香ちゃん、もう記事書けてるじゃん。もう先に帰っていいよ?」

僕は出来上がった記事を指定された箱に入れる智香ちゃんに言う。こんなことを言うのは初めてで、とてもドキドキしていた。

「大丈夫!圭太を手伝うよ。だって圭太が発作を起こしちゃったら大変だもん」

智香ちゃんはニコリと笑う。でも、その笑顔を見ていると苦しいんだ。

「智香ちゃん、僕はもう大丈夫だよ。きちんと薬だって飲んでるし、発作なんてあの日以来起きてない」

「それでも、万が一のことがあるでしょ?発作を起こしちゃったら死ぬかもしれないんだよ?」

「でも、僕はもうあの頃の僕じゃない。一人でも平気だよ……」

「そんなこと言わないでよ。あたしはあんたが心配なだけだからさ」