朝ご飯を食べた後、欠かさず薬を飲む。毎食後欠かさず飲まないと発作が起きてしまうから。

「圭太、薬持った？」

「持ったよ」

「バンドはちゃんとつけた？」

「つけたよ」

智香ちゃんと同じく心配性な母さんにそう言っていると、呼び鈴が鳴って「お邪魔しま〜す！圭太、学校行くよ」と制服に着替えた智香ちゃんが入ってきた。

「智香ちゃん、圭太を今日もよろしくね」

「はい！」

二人の会話を聞いていて、僕は不安に駆られてしまう。僕はこのままずっと智香ちゃんに守られて暮らしていくんじゃないかって。自立させてもらえないんじゃないかって。

「圭太、何ボウッとしてるの？遅刻するぞ」

「わかってるよ」

やっと履き慣れてきたローファーを履き、僕たちは学校へと歩く。高校は幸いにも歩いて十五分ほどの場所にある。でも、僕は学校へ行くのが少し憂鬱になる時があるんだ。

「今日も彼女とラブラブ登校か？」

「羨ましいな、おい！！」

学校に着き、教室に入ると友達に今日もからかわれる。僕は何でもないフリをして笑うんだ。