首をかしげる僕に、隼人くんは僕の知らない智香ちゃんの話をしてくれた。

「僕のいとこの兄ちゃんもてんかんを持ってたんだ。兄ちゃんは生きていたらきっと大学生くらいになってたんじゃないかな」

「どうして亡くなったの?」

「発作を起こして死んだんだ。しかも、姉ちゃんの目の前で」

ドクンと僕の胸が音を立てた。だから、あんなに智香ちゃんは必死だったんだ。僕のそばから離れなかったんだ。

「姉ちゃんときちんと話し合ってあげて。今回のことは俺はお互いに悪いところがあったと思うから」

「わかったよ。……ありがとう」

僕はそう言い、ブランコから飛び降りる。そして走り出した。智香ちゃんと話さないと!

僕たちはうまく言葉を交わせなかったんだ。ただ自分の気持ちを押し付けてしまっていた。それじゃダメだ。きちんと互いに話し合わないと意味がない!

道を走っていると、智香ちゃんがかばんを手に歩いてきた。僕は「智香ちゃん!!」と声をかける。互いに緊張しているのがわかった。