「本当、綺麗ですね」
「ありがとう。うちの庭は四季折々とってもいい色になるんだ。おすすめはやっぱり春の桜の時期かな」
「いいですね、来年が楽しみです」
ふふ、と笑って縁側に腰を下ろす私に、周さんは一度席を外す。
そして少しして戻って来た彼の手にはお盆が持たれている。
「お待たせ。はいどうぞ」
私の横にそっと置かれたのは、あたたかなお茶が注がれた湯呑と和菓子が乗った四角い小皿。
和菓子はお花の形をしておりとってもかわいらしい。
「かわいいですね!食べるのもったいない……でも食べないともっともったいない……!」
「あはは、面白い子だねぇ」
隣に座る周さんに笑われながらも、和菓子をひと口食べる。
控えめな甘さとなめらかな口どけが食べやすく、ついぱくぱくと食べ進めあっというまに完食してしまった。
「おいしかった……ごちそうさまでした」
食後に飲むあたたかなお茶もまた格別だ。
周さんに対する警戒心もすっかり解け、「ふう」とひと息ついていると彼はそれを微笑みながら見つめた。
「名護との生活はどう?楽しんでる?」
「はい!毎日楽しいです」
隠す必要もないし、正直に答える。
けれどその答えが少し意外だったのか、周さんは目を丸くした。
「へぇ、てっきり『なに考えてるのかわからない』とか言うかと思った」
「うーん……確かに分かりづらいこともありますけど。でもだからこそ、わかりあえた時がうれしいんです」
確かに、清貴さんは感情があまり顔に出るタイプではないから表情で察することは難しい。口数も少ないから尚更だ。
でもその分、お互いの気持ちが伝わったときは嬉しいし、笑ってくれるとこちらまで笑顔になってしまう。



