「そうだ、これ清貴さんに」
昼間周さんからもらったお守りを、ひとつ清貴さんに手渡す。
清貴さんはすんなりと受け取ってくれたけれど、『宝井神社』という文字を見た途端表情を固まらせる。
「宝井神社……まさか、行ったのか」
「はい、ちょっとお散歩がてら。周さんともお会いして、そしたらふたりにってお守りくれたんです」
自分の分のお守りも見せながら、私は笑顔で話を続ける。
「でもびっくりです、清貴さんにああいう感じの親友がいたなんて!」
……ところが、目の前の清貴さんは心底嫌そうに眉間にシワを寄せている。
あれ?親友の話をしているわりには、なんだか嫌そうな顔……。
「どうしたんですか?親友の話なのに……」
「親友なわけあるか。あんな性悪男、ただの腐れ縁だ」
「そうなんですか?でも優しくて素敵な人でしたけど」
性悪って……とてもそうは見えなかったけれど。
不思議に思い首を傾げる私に、清貴さんはお守りを受け取ることなくテーブルに置いた。
「優しいのは見た目だけだ。危ないからあいつのところにはひとりで行かないように」
「へ?危ないって……まさかぁ!あんなに穏やかな人なのに」
「見た目じゃ人はわからないから言ってるんだ。いいな、絶対だ」
珍しく不機嫌さを明らかにして、清貴さんは一度自室へと向かった。
なんで不機嫌に……?
それにお守りも置きっぱなしで行っちゃった。
その後、戻ってきた清貴さんはそれ以上周さんについて話すことはなかった。
そのせいか食事中も気まずい空気のまま。
周さんってそんなに危ない人なのかな……。
確かに不思議な雰囲気はあったけれど、悪い人には見えなかったんだけど。



