「初めまして。杉田……じゃない、名護春生と申します」
「春生ちゃん、ね。僕はここの神主を務めてます、宝井周です。周でいいよ」
周さん、かぁ。若いのに神主さんだなんてすごい。
陽の光に照らされる優しい笑顔が眩しく、オーラのあるその雰囲気といい、整った綺麗な顔といい、清貴さんと並んでも遜色ない人だと思った。
「それにしても、名護のやつこんなかわいくて若いお嫁さんもらうなんて羨ましいな」
「いえ、そんな……」
周さんは、微笑みながらそう言うと一歩近づく。
お世辞とわかっていても、そんなふうにストレートに褒められると悪い気はせず、私は照れながら手にしたままだったお守りを彼に差し出した。
「じゃあ、これひとつください」
「縁結びのお守り……結婚してるのに?あ、もしかして不倫してる?」
「え!?ち、違います!!」
不倫って!
そんなことしてるわけがない、と私は思い切り首を横に振って否定する。
「私、清貴さんとはまだお互いに知らないことも多くて……だから、縁結びのパワーでもっと近づけたらいいなって思って」
夫婦となった私たち。だけど、まだ本当の夫婦にはなれていないと思うから。
ふたりの縁が、神様の力でもっと固く結ばれたらいいな、なんて思ってしまう。
「じゃあ、そんな春生ちゃんに神主さんからアドバイスをあげよう」
「アドバイス?」
周さんはにこりと微笑んで、私が手にしているものと同じ縁結びのお守りをひとつ手にとる。



