「こんにちは。すみません、勝手に見て」
「いいえ、どうぞごゆっくりご覧になってください」
優しい声に甘えて、私は並んだお守りに再度目を向ける。
「恋愛のお守りが多いんですね」
「うちは縁結びで有名なところですから」
「縁結び……」
だから参拝者も女性が多いんだ。
納得しながら、『縁結び』と書かれた赤いお守りをひとつ手に取った。
「まぁでも、名護の奥様には必要ないかな?」
「えっ!?」
突然のその言葉に、驚き彼の方を見る。
目を丸くした私にも、彼はにこにことした笑顔のまま。
名護の奥様って……どうして。
「どうして私のことを……?」
「そりゃあ名護リゾートの息子が結婚したなんてビッグニュース、近隣にはすぐ知れ渡るよ。それに、僕は名護の親友だから」
「えぇ!?」
き、清貴さんに、親友!?
いや、まぁそういう仲の相手がいてもおかしいことじゃない。
けれど、孤高のイメージがあったせいか、親友という響きに驚いてしまう。
しかも、清貴さんとは真逆な雰囲気の人と……。
でも、そっか、清貴さんにもそういう存在がいたんだ。よかったなぁ。
安堵すると、まだ挨拶もまともにしていなかったことを思い出して、私はあわてて頭を下げた。