名護さんは朝は和食派。少食なので、あまり量は作らずなるべくあっさりめに食べられるもの。



「焼き鮭におひたし、ごはんも炊けたし……うん、お味噌汁の味もちょうどいい」



今日は、名護さんはお昼に会食があるらしいからお弁当はいらないって言ってたな。

そんなことを考えながら、ダイニングテーブルの名護さんの席にごはんやおかずを並べていく。

するとそこに、起きてきた名護さんが姿を見せた。



既に身支度を終え今日もスリーピースのスーツに身を包んだ彼は、朝早くにもかかわらず眠気も見せずに涼やかな目をしている。



「あっ、おはようございます!」



そんな名護さんを大きな声で出迎えると、呆れたような感心するような、なんとも言えぬ顔でこちらを見た。



「……朝から元気だな」

「はいっ、元気と前向きが取り柄ですから!ごはんできてますよ」



その言葉に席につく名護さんに、私も向かい合うように自分の分の食事を並べて席につく。



「いただきます」

「いただきまーす」



ふたりで手を合わせ、食事を始めた。

特別弾む会話があるわけでもない、朝の食卓。

けれどこうしてふたりで朝食をとるだけでも、大きな変化だ。