「あの、先輩はいつもここで弾いてるんですか?」

「いや、今日はたまたま。いつもは家で弾いてるんだけど、今日はちょっと色々事情があって。」

「そうなんですか…残念です。また聞きたかったんですけど。」

本当に残念だな。

こんな素敵な演奏がもう聞けないだなんて。

先輩が黙りこんでいる。

やっぱり迷惑だったよね。

「あの、ワガママ言ってすみ「桜木、そんなに聞きたいなら明日から俺んちに聞きに来るか?」

「え?いいんですか!?」

幻聴!?

「ああ、桜木なら大丈夫だ。だが、もちろんこのことも他のやつには言うなよ。」

「もちろんです!楽しみにしてます。」

「そんなに喜んでくれるとは思わなかった。」

「嬉しいに決まってるじゃないですか!まさか、また聴けるなんて。」

心からそう思う。