二度目の初恋

そのまま3月の卒業の日を迎え、再会したのは3月末だった。

悠永がたまたま元の家を見に戻って来ているところに高校の入学前オリエンテーション帰りの私が通りかかったのだ。

私は我慢出来なくなって悠永に抱き付いた。

かつて想いを寄せていた相手に去られ、短期間で両親を失った悠永は痩せて力も英気もなかった。

私が自分の手で繋ぎ止めなければ悠永は私の前に2度と姿を見せなくなってしまうという恐怖に襲われた。

悠永が蚊の鳴くような声で呟く。


「伽耶...」

「私は...私は絶対に...絶対に絶対に悠永を1人になんてしない。ずっと側にいる。だから悠永...私から離れないで。私を1人にしないで」

「伽耶...ありがとう。こんなオレをいつも見捨てないでくれて...本当に感謝してもしきれない」


私は瞳に溢れてくる生温い液状の感情を堪えられなかった。

堪えようとしても出来なくて、私は汚い顔を悠永の肩に押し付けながら両腕に力を込めて抱き締め続けた。